お太夫さんのくんだら問答 第1回 注連縄(しめ縄)
・・・・・境内の枯葉掃除をしている総代さんと宮司(お太夫さん)
- お太夫さんちょっと訊いてええで?神社には鳥居やら何処やかしにしめ縄掛けとおわな、注連縄掛けるんは、ここから神聖な場所じゃけんちゅう事くらいはワシも知っとおけんど、注連縄はなんで足が出とるんかいな?元々の由来っちゃどんなんで?
- ほうやな、総代さんでも注連縄の由緒までは分らんかい、ほれはな天岩戸の話知っとるで?弟、スサノオが悪さばっかりするんでどくれて天照大神が天岩戸にお隠れになって世の中真っ暗になって皆困った・・・
- その話だったら知っとお、何じゃらいう女の神さんが元祖ストリップする話やな。
- さすがにそんな話はよう知っとんなぁ!
- それでストリップと注連縄とどんな関係があるんで?
- どうしてもそっちに話が行くんかいな、確かに天宇売命が踊るうちに衣がはだけて八百万の神さん連中が喜んだちゅう話やけど、それで外が騒がしいのが気になって天照大神は岩戸をちょっと開けた。そこで控えていた天手力男命ちゅう力持ちの神さんがすかさず岩戸を思い切り引き開けた。
- そしたらその岩が出雲まで飛んでいったんやな。
-
よう知っとんなぁ、けど出雲と違う、信州の戸隠じゃ。
天照の神さんがようやく岩戸から出てきてくれたけん、また「引きこもり」になられたら困るんでもう入れんように岩戸に縄を張ったんじゃ、その縄は急いでのうたけんところどころ足が出とるんよ。 - え〜そうなんでぇ、ほんまかいな?
- まぁ、わしがその場におったんではないけんなぁ、けどその話にしといたほうが面白いけんな。
- お太夫さん、ほれ手が止まっとお、ほれ箒で早う掃きなはれ、掃除、掃除。
文:神東 正典