お太夫さんのくんだら問答 第4回 イルミネーション
・・・・・例によって境内の掃き掃除をしている総代さんと宮司
- 「早いもんじゃなぁ、総代さん。もう師走が来よんでぇ」
- 「ほんまじゃなぁ、年末のお神札また頒布の時期じゃな」
- 「そうそう、総代さんまたお願いしますけんな」
- 「分っとるでわだ、ほれはええけんど最近なんやら気に障るんがな、この参道の隣の家。ありゃなんぞい?」
- 「はて? あぁ、あれかい。電飾ちゅうか今はイルミネーションちゅうんやな、年末になったら点けるんよ、ほんまに困ったもんじゃ」
- 「なぁ〜、西洋化ぶれもええかげんにせぇと思うわよ、都会の街中ならまだしも、こんな田舎の、しかも神社の隣に住んどって何考えとんな! 場にそぐわんちゅうんじゃ、ほんまに!」
- 「わしは言いたぁても言えんけん総代さんもっと言うて!」
- 「ほんまに日本は戦争に負けてから何でもアメリカのいいなりじゃ、クリスマスやら昔はせぇへんかった」
- 「まぁあれはケーキ屋やらデパートの陰謀もあるけどな、ほやけど総代さん、こない考えたらどないで?日本の神様は八百万の神々やけんな、 日本人は後から入って来た仏さんもキリストさんも八百万の一人と受け入れるんよな。」
- 「お太夫さんほんなこと言よるけんあかんのじゃわ、後から来た仏さんは神さんこそ実は仏じゃって坊んさんは言よるでぇ」
- 「何々大権現ちゅうてな。まぁけど神さんは日本にもともと居るし、鷹揚なんよ。 日本の神さんはお宅はお宅、うちはうち、ほんで仲良うしまへんか。ちゅうことやな、イスラム教みたいにうちの神さんこそ神さんじゃ、 他は殺してしまえ!では地球は一つやのに仲良うできんでぇ」
- 「お太夫さん、ええこと言うなぁ〜ほんまじゃなぁ、日本の神社神道ちゅうのはほんま一番ええ教えやなぁ」
- 「神道は教えとはちがうけどな、教義も無いし戒律も無い、けど人間が自然と共に、すなわち神とともに生きる道なんやな。」
- 「だいたいが西洋かぶれしとる人間こそ英語やようしゃべらん。ほんまに英語ぺらぺら喋れる人は各国の文化の違い知っとおけん恥ずかしいてあんなことはようせん。」
- 「イルミネーション点けて喜んどるんは自分がアホやと周りに言よるんと同じやな。娘や息子がしよってよう止めんのは親もまたアホやな」
- 「ほうなんよ、ミッキーマウスは知っとっても八岐大蛇さえ知らんのが今の子供・・・・いや二十歳や三十歳過ぎでももう知らんの違うかな、 これは恐ろしいことでぇ〜、グリム童話教えて日本の神話教えんのは日本の文化無くそうちゅう外国の陰謀でよ、ほんま」
- 「うん!そうじゃな、ワシこれから孫に日本の神話ちゃんと教えるわ!」
- 「頼むでよ〜、私も社頭講話で頑張るけん!」
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