お太夫さんのくんだら問答

お太夫さんのくんだら問答 第5回 おまつり

・・・・・例によって境内の掃き掃除をしている宮司(お太夫さん)と総代さん

「今年の夏は暑かったなぁ〜お太夫さん」
「ほんまじゃなぁ〜総代さん心配なかったで?」
「長年生きてきとってもこんな暑い夏は今迄経験したことないわ」
「ほんまになぁ、日本も地球もなんや気候が変わってきよるんやなぁ」
「昔は熱射病ちよった・・・あれ、いまは熱中症ちゅうんかいな、国中でようけ年寄りがばたばた死んだでぇ」
「ほなけんど赤道やアフリカの国と違うて、日本にはまだ四季があって夏の後には秋が来て、秋がきたら・・・」
「お祭りの季節じゃ!」
「その通り!また総代さんいろいろ忙しいけど頼むでよ」
「ほれは分っとるわだ、氏神さんの秋祭りは一年で一番大切な行事じゃけんなぁ〜」
「エライ!それでこそ氏子代表!総代会長!」
「冷やかしよんかい! それはそうとお太夫さん、前から訊こうと思うとったんやけんど、お宮の祭りと観光やイベントのまつりってどない違うんで?」
「それなんやけどな、まつりという言葉は、祭り、祀る、奠、奉り、といろいろあるけど、延喜式やら昔の記紀では『祭』は手に肉を捧げて神に備える儀、 『奠』は酒樽を台の上に載せて備える儀を示す。と有るんよ。」
「『奠』は玉串奉奠の奠やな!」
「ピンポン!総代さん、どしたん?今日は冴えとんなぁ〜」
「・・・ほなけん、なんせ神さんに関係あるんやな?」
「ほうじゃ、纏めたら『まつり』とは、神を一定の場所にまつり、神に物を捧げ、心から神心(神言)に随順すること。なんよ」
「ほな県や市や商店街がやっとる○○まつりちゅうんは何ぞい?」
「あれはな、神社のお祭りには参拝客当て込んで境内にいろいろ市が立つだろ?で、人がようけ集まってきて賑やかだろ。 葬式でも人は集まってくるけど楽しそうではいかんわな?ほなけんお役人や商工会は神社の祭りにあやかって『○○まつり』 と銘打っとんだろうな」
「ほなけんど神さんおらんし、神さんに物捧げんのにまつりやいうたらアカンわなぁ、 せめてお太夫さん呼んで御幣でも立てて神さんにお供え物して商売繁盛やら○○イベント安全祈願するとかせんとイカンわなぁ〜、 ほんでないと御利益やあるかいだなぁ〜」
「ピンポンピンポン! ほんまにどしたん?総代さん今日は冴えまくっとんなぁ〜」

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